2023-01-01から1年間の記事一覧

大友良英スペシャルビッグバンド@新宿PIT INN 2023昼の部ライブレポ

フリージャズ〜タンゴ〜スカ〜ロック〜映画音楽〜歌謡曲と次々にジャンルのボーダーを飛び越える。でもそれは特別なことではなく、というのもひとりの演奏者が影響を受ける音楽は当然さまざまあり、しかも人が複数が集まればそのぶん多くの音楽の文脈が交差…

柴田聡子ひとりぼっち’23@大手町三井ホール、めっちゃよかった

めっちゃよかったです。 今回、柴田聡子の弾き語りライブである「ひとりぼっち」を初めて観たのですが、めっちゃよかったです(2回目)。 現時点での最新アルバム『ぼちぼち銀河』のリリースライブのバンドセットを観た以来で、そのときはアンコールでファー…

ふふふ文化祭で渋さ知らズを見てきた

西千葉のZOZOの広場+緑町公園+HELLO GARDENで開催された「ふふふ文化祭」に行ってきた。 ふふふ文化祭 | EVENT | HELLO GARDEN 主催はふふふ文化祭実行委員会(緑町公園管理運営委員会)。運営の株式会社マイキーは、西千葉を拠点にまちづくりの企画プロデ…

祈りのポリティクス——『キリエのうた』論(1)

しかし、いま、まさに死んでゆく者に対して、その手を握ることさえ叶わないとき、あるいは、すでに死者となった者たち、そのとりかえしのつかなさに対して私たちになお、できることがあるとすれば、それは、祈ることではないのだろうか。 岡真理『アラブ、祈…

Otomo Yoshihide Solo Works 1 Guitar and Turntable 発売記念LIVEレポ

2023年9月10日(土)、渋谷の公園通りクラシックスで行われた大友良英さんのソロアルバムOtomo Yoshihide Solo Works 1 Guitar and Turntable | Otomo Yoshihide / 大友良英のレコ発ライブの昼の部に行ってきたのでそのレポ。 まずはギターの演奏から。おな…

すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り2023レポ

2023年9月7日木曜日午後6時半。仕事を終えて錦糸町駅に向かい、住吉方面へ歩くこと5分。首都高7号線の高架下から音頭のリズムと歌声が聴こえてくる。音に向かって歩く人々がいるのに気づく。その人波に加わり、足取りが少し早くなる。会場に着く。ものすごい…

【4冊目】「らんまん」の2次創作としての自伝〜牧野富太郎『草木とともに——牧野富太郎自伝』(角川ソフィア文庫、2022年)

「らんまん」、おもしろいですよね。植物が誰よりも好きで、誰がなんと言おうと植物学の道をまっしぐらに進み、反対していた人も唸らせてしまう、万太郎の磁力にすっかりはまっています。万太郎、わたしの人生のロールモデルなんじゃないかと思えるほどです…

【書評】ジャパノイズはぐるぐる廻る〜デヴィッド・ノヴァック『ジャパノイズーーサーキュレーション終端の音楽』(若尾裕訳、水声社、2019 年)

大学の課題で書いてどこにも出ることなく眠っていたWordファイルから。一部改稿したものの、エッセイ風味がなく、真面目すぎる……(本は抜群に面白いです。必読です)。以下より本文。 少し迂遠な話から。ポストモダンの文化人類学者、ジェームズ・クリフォー…

フェスティバルFUKUSHIMA! 2023ルポ

2023年8月12日土曜日、東京は晴れ。西日本には台風7号が接近している。東京駅から13時ちょうど発のやまびこ139号で福島駅へ向かう。新幹線に乗ってすぐ、駅弁屋で買った押し寿司を開ける。酢の匂い。隣の席の大学生っぽいふたり組が嫌な顔をしないか心配だ。…

【書評】カメラを切り替える——三木那由他『言葉の展望台』(講談社、2022年)

ちょっとした言葉が気になることがある。たとえば昨日は同居人にこんなことを言われた。 「いさとちゃん、ティッシュがないよ」 テーブルの上にあるボックスティッシュが使い切られたまま放置されていたのだ。思えば最後に使ったのはわたしで、使い切ったこ…

【書評】「トランス」に誘われ、「ノイズ」を聴きにいく——周司あきら・高井ゆと里『トランスジェンダー入門』(集英社新書、2023年)

「男性と女性で脳の構造が違うんですよ」、「男の人って中華好きですよね」、「女性にお茶を淹れてもらったほうが男性は嬉しいに決まってる」「〇〇くんは彼女いるのかな?」「インスタとかああいう細かいのは女性がやるものだと思うんだよね」etc……。 これ…